中国新聞社
2011ヒロシマ
'11/7/30
碑は語る<6>原爆慰霊碑<動画あり>


 ▽試される被爆地の決意

 平和記念公園(広島市中区)の中央に立つ原爆慰霊碑。被爆者の児玉泰さん(84)=中区=は「両親と弟が眠る場所。二度と戦争を起こしてほしくない」と毎月、手を合わせる。お年寄りや子ども、観光客…。さまざまな世代、国籍の人が訪れ、誓う。「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」

 犠牲者の霊を雨露から守る埴輪(はにわ)形の覆い屋を備えた碑は、被爆者の雑賀忠義広島大教授(1961年死去)の文案を石棺正面に刻み、52年に除幕した。復興へ歩む被爆地から核兵器廃絶を訴え続けてきた。

 碑文は「過ち」という言葉の主語をめぐり論争も巻き起こした。83年、市は慰霊碑近くに説明板を置き、主語は「すべての人びと」としている。

 人類史上初の原爆投下から66年。福島原発事故を受け、「核」に注がれる視線は厳しさを極め、ヒロシマの意義が今、問われている。日常に溶け込む21文字の誓いが、被爆地の朝焼けに浮かぶ。(写真・宮原滋、文・馬上稔子)=おわり 動画はこちら

【写真説明】朝焼けに浮かぶ碑文。原爆ドームとともに、核兵器廃絶を訴え続ける



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