核廃絶を「明確に約束」 NPT会議が文書採択へ  

'00/5/19
中国新聞
スポットニュース

18日、国連本部でのNPT会議の特別会合で笑顔を見せるバーリ本会議議長(左から2人目)(共同)

 【ニューヨーク18日共同=石山永一郎】国連本部で開催されてい る核拡散防止条約(NPT)再検討会議の特別会合は十八日、対立 していた核廃絶の具体的誓約などでフランス、ロシアなど核保有国 が譲歩、決裂の懸念もあった手詰まり状態から一転、最終文書採択 の見通しとなった。

 最大の対立を抱えていた核軍縮委員会が協議した主要十三項目を 同日、文書化し、うち「核保有国の核廃絶に向けた明確な約束」な ど十二項目を最終文書に盛り込むことで合意。残る対立は中国が一 部文言の修正を求めている核保有国の核軍備情報の透明性増大をめ ぐる項目だけとなった。

 会議筋によると、メキシコ、スウェーデンなど強く核廃絶を主張 するグループ「新アジェンダ連合」(NAC)が要求した「核廃絶 の明確な約束」に対し、フランスが冒頭に「究極的目標である」と の文言の挿入を求めていた。しかし、核廃絶を現実性のある「優先 課題」と位置づけるNACの強い反発を受けて同日、挿入なしでの 受け入れを表明した。

 「戦術核兵器のさらなる削減」に反対していたロシアも受け入れ で妥協。兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉の妥結 目標では中国が「五年以内の妥結」に同意した。

 最終文書にはこのほか、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早 期批准、核保有国による自発的核削減努力などが盛り込まれる予 定。

 特別会合はバーリ本会議議長(アルジェリア)が合意に向けた詰 めの協議のため招集した非公式協議。

【写真説明】18日、国連本部でのNPT会議の特別会合で笑顔を見せるバーリ本会議議長(左から2人目)(共同)


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