START2批准 広島の評価二様

'00/4/15中国新聞地域ニュース

 ロシア下院が十四日、第二次戦略兵器削減条約(START2) の批准法案を可決したニュースに、広島の被爆者や平和運動家たち は「一歩前進」と評価する半面、「なお多く残る核弾頭の早い廃絶 を」と平静な受け止めをみせた。

 広島県原水協の楠忠之顧問は「現有の核兵器減少が進むのは良 い。国際世論に押されて動かざるを得なくなったのだと思う」とみ る。同県被団協(金子一士理事長)の末宗明登事務局長は「問題は なお核兵器廃絶に至っていない点。核開発のせいでロシアには二万 人を超える核実験被害者がおり、悲惨な状況だ。削減にとどまら ず、一日も早く廃絶を進めてほしい」と求める。

 米国ニューヨークの国連本部で核拡散防止条約(NPT)再検討 会議が始まるのを控えた今回の動き。もう一方の核超大国・米国は 十二日に核兵器製造に従事し被曝(ばく)した労働者への国家賠償 を発表した。

 再検討会議に合わせて現地を訪れる、もうひとつの広島県被団協 の坪井直事務局長は「一歩前進したのは確かだが、われわれはあく まで核保有国に矛先を向ける考えに変わりない。国際世論を大きく して廃絶を求めていく」と話している。

 広島市は黒川浩明広島平和文化センター理事長名のコメントを発 表。「米ロ両国は早急にSTART2が発効できるよう努力しても らいたい。NPT再検討会議では、核保有国は核兵器廃絶への具体 的な道筋を国際社会に明示すべきだ」と求めた。


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