中国新聞


子育て応援手当
「独自支給せず」8割
中国地方110市町村 他は判断保留


photo

 自公政権が補正予算に盛り込んだ施策で、国が支給停止を決めた「子育て応援特別手当」について、中国地方110市町村のうち8割が、独自支給をしない方針であることが18日、中国新聞の調べで分かった。残る2割はまだ具体的な検討や最終判断をしていないが、「財政的に厳しい」「市町村が自己財源で負担すべきものではない」など大半は消極的な姿勢である。

 「独自支給しない」と説明したのは、88市町村。広島県北広島町の竹下正彦町長は「国がやめた事業を自治体がカバーするのは筋違い」と話す。多くは同様の態度だが、「他市町に支給の動きが広まれば、追随を検討しなければならない」(神石高原町)など様子見の自治体もある。

 益田市は既に、今月から支給の事務作業にあたる臨時職員を採用している。「来年3月末までの期限で1人を雇用した。今後の処遇と給料をどうしたらいいのか」。急な方針転換を受け入れる半面、後始末に苦慮する。

 広島市をはじめ22市町村はまだ判断を保留している。岡山市は「トップの決断次第だが、決定したら早急にホームページに載せる」。尾道市は「支給のための電算システムをほぼ構築した。支給停止の撤回を国に要望することも検討中だ」と戸惑う。「来週初めにも市長判断で決めたい」と美祢市。広報紙などで住民に周知する必要があり、決定を迫られている。

 既に事業費を含む補正予算を可決した自治体の中には、独自支給の検討に前向きな姿勢もうかがえる。雲南市は、9月補正で4千万円を計上した。市民環境生活課は「予算を提出した責任は市にある。独自支給を検討しなければならない」とするものの、具体的な議論はこれからだ。

 支給停止に対し、住民から困惑の声も寄せられている。対象者が約3万4千人に上る広島市には「中止は本当か」など20件を超える問い合わせがあった。大半は「政権が代わって、来年度から『子ども手当』が出るなら仕方がない、と納得してくれた」と同市。鳥取市も16日までに4件あったが、目立った混乱はないという。(政権交代取材班)


クリック 子育て応援特別手当 麻生政権の追加経済対策として本年度補正予算に計上された。3〜5歳の子ども約330万人を対象に1人当たり3万6千円を本年度中に支給する計画で、予算総額は1254億円。政権交代による補正予算見直しで支給停止が決まったが、混乱を懸念する兵庫県三木市が自治体の全額負担での独自支給を表明した。一方、鳩山政権は、中学卒業時まで1人につき2万6千円を支給する子ども手当(来年度は半額)を計画している。

(2009.10.19)

【関連記事】
三次市、独自に対象追加 国の「子育て応援特別手当」 (2009.10.1)
2歳児までに特別手当 岡山県矢掛町が独自制度 (2009.7.23)



子育てのページTOPへ