中国新聞


広島県東部 学校耐震化に遅れ
6市町公立小中 福山は県ワースト2


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 広島県東部4市2町の公立小中学校施設の耐震化率(2010年4月1日現在)が、府中市と世羅町を除いて県平均(53・3%)を下回っている。福山市は県内ワースト2で、遅れが目立つ。現行基準の適用前の施設が多く、重い財政負担も遅れの要因になっている。

 耐震化率は、福山市37・5%(県内22位)▽尾道市41・3%(同19位)▽三原市53・0%(同12位)▽府中市61・5%(同7位)▽世羅町69・4%(同6位)▽神石高原町41・7%(同18位)―。全国平均は73・3%。  福山市の小中学校計403棟のうち、252棟が耐震基準を満たさず、震度6強以上の地震で倒壊の可能性がある。本年度は体育館7棟、校舎5棟を改修したが、まだ240棟が残る。市教委施設課は「企業進出で人口が急増した70年代の小中学校が多い」と地域特有の事情を説明する。  東日本大震災で新たな課題が浮かんだ。災害避難所として校舎より優先する体育館の耐震化は、12年度中に終える。しかし、沿岸部の体育館は津波で浸水する恐れが高い。校舎に避難しようにも、耐震基準を満たしていない学校もある。同課の藤井政明課長も「津波対策は新たな検討課題だ」と認める。  三原市教委は「費用の問題や国の支援策を見極める必要がある」と説明。09年度から実施している学校施設4棟の耐震化工事の事業費は計3億1200万円に及ぶ。  府中市教委は合併特例債などを活用し、05年度から耐震化工事を進めている。11年度に小学校を10校から4校に統合するのに伴い、耐震化が必要な施設がなくなる世羅町教委は「統廃合計画に沿って効率的に耐震化を進めた」とする。  尾道市も改修が必要な施設が73棟ある。市教委によると、耐震設計を審査する専門機関「県建築物耐震診断等評価委員会」に市町の依頼が集中して順番待ちとなり、遅れの一因となっているという。

(2011.3.16)

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