中国新聞


発達障害と向き合う日常
安佐南区の兼田さん
親子の体験を出版


 発達障害がある広島市安佐南区の兼田絢未さん(42)=ペンネーム=が、同じ障害のある2人の息子との暮らしぶりをつづった「親子アスペルガー ちょっと脳のタイプが違います」を出版した。漫画化も決まり、年内の刊行を目指して製作が進んでいる。

 兼田さん親子の障害はアスペルガー症候群。A5判、174ページの著作の前半は、兼田さんが自らの幼少期の体験を交え、障害の特徴を記す。例えば、言葉を額面通りにとらえる傾向があり、言動が誤解を招きやすい。怒った大人に「もう好きにしなさい」と言われても相手の感情を読みとれず、さらに叱られていたという。

 小学生の息子2人とのやりとりも丁寧に描写している。息子の言動が理由で友だちとけんかになったとき、何が誤解を招いたのか、どうすれば回避できたのか、絵を添えた説明文を書いてみせるという。その原文も一部、収録した。

 感覚過敏がある息子の気分を落ち着けるのに効果的な遊具や、読み書きの課題を克服させようと作った教材も紹介。兼田さんは「わが子の発達障害を受け止められずにいる人に『大丈夫』と伝えたい。子育てに一工夫を加えれば、社会で生き抜く力は付いていくはずだ」と話している。

 合同出版で、1470円。漫画も同社が刊行する。同出版Tel03(3294)3506。(田中美千子)

(2011.5.6)

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