中国新聞


絵本文庫 母親支え25年目
岩国の長光さん夫妻 自宅で運営 


   

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親子を前に絵本の読み聞かせをする長光さん夫妻(13日)

 5千冊の絵本が並ぶ岩国市尾津町の文庫「そらいろのおうち」が25年目に入った。塾講師の長光宏明さん(59)と元保育士の知香子さん(57)夫妻が自宅に開設。ボランティアでお話会と本の貸し出しを続ける。「絵本は心をつなぐパイプ役」。子どもの感性を養う場は、母親の交流を育む役割も果たす。

 ▽月1回お話会 交流育む

 6畳2間に宏明さんのギターと歌声が響く。「手をたたこ〜う」。母親の膝に乗った乳幼児が身を乗り出す。「子ブタがブー」。知香子さんの語りに笑い声がはじけた。

 自宅で月1回の「ちいさい子のためのおはなし会」。30分の会が終わると、今度は母親同士が育児への思いや悩みを語り合う。「母親の応援団でありたい」と2人は見守る。

 「子どもたちに本の楽しさを届けたい」。知香子さんが保育士を辞めた1987年、空色の離れのプレハブから始めた。その後、自宅の増築とともに本を増やしていった。

 知香子さんは授かった1男2女にも寝る前に本を読み聞かせた。「仕事が忙しく遊んでやれなかったから。子育てを楽しむ余裕もなかった」と振り返る。

 次女の笠原由佳理さん(31)=大阪市住吉区=は「絵本を買うなら小遣いに回して」と活動に納得できなかったこともある。でも、自ら2歳児を育てる今なら理解できる。「子どもがふれあい、母親が息を抜ける必要な場所です」

 4月、文庫に近所のお年寄りを招き、若い親子とパン作りを楽しんだ。「3世代が交流できる場にならないだろうか」と長光さん夫妻。新しい取り組みを探っている。Tel0827(31)0533。(酒井亨)

(2011.5.24)


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