中国新聞


児童増え複式学級解消 統廃合検討対象の井原小
住民一丸で定住促進


   

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さくらまつりでみこしを引く児童。年々参加者が増え、元気な声が響く

 広島市教委が統廃合の検討対象としている井原小(安佐北区白木町)は2012年度、複式学級を解消した。市教委が学校適正配置計画の素案を示した2009年度以降、児童数が増加。住民も空き家情報の提供を計画するなど定住促進を進めて学校存続に協力している。

 井原小の現児童数は、09年度より10人多い50人。昨年度は複式だった5、6年の各学級が復活した。児童が増えている背景には、転勤に伴う保護者のUターンや、子育て世代向けの民間アパートへの転居などがある。さらにPTAを中心に、他地域に住む地元出身者への声掛けも続ける。

 15日に地元の神ノ倉山の山頂一帯であった「さくらまつり」。児童45人がみこしを引き、和太鼓も披露し活気が戻ってきた。3人の子を持つ会社員古川祐平さん(39)は10年4月に周南市からUターン。「地域に温かく迎えてもらった」と喜ぶ。

 地元では、10年1月に計画素案が公表された直後、自治会やPTAが同小の存続を求める会を結成。定期的に集い、活性化に知恵を絞る。留守家庭の児童が集まる「ふくろう塾」を住民が運営するなど、地域ぐるみで子育て支援に取り組む。

 今年3月からは18町内会・自治会が中心となり、地区の空き家や休耕田の情報を収集。子育て世帯などに賃貸や売却できる民家2軒、宅地4カ所などを地区のホームページに掲載する予定だ。夏には、都市部の住民へのPRとして農業体験会も検討している。

 求める会の古川東会長(83)は「地域一丸となった取り組みが奏功した。再び複式に戻る可能性もあり、定住促進に力を入れたい」としている。(有岡英俊)

(2012.4.25)


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