中国新聞


ポリオ生ワクチン、乳児の接種控え顕著
広島県内、今春13・4ポイント減78・8%


 ポリオ(小児まひ)の予防接種で今春、広島県内で生ワクチンを投与した乳児の割合が78・8%にとどまり、昨春より13・4ポイント減少した。副作用がないとされる不活化ワクチンの導入が9月に迫る中、接種控えが増えたとみられ、山口県でも同様の動きが出ている。予防接種が9月に集中すると、不活化ワクチンが不足する事態が懸念される。

 ▽来月の「不活化」導入待ちか

 生ワクチンは1歳半までに2回の接種が推奨されてきた。広島県内では各市町が4〜7月に設けた春の接種期間中、対象の0〜1歳児2万5066人のうち、生ワクチンを接種したのは1万9751人。2割以上の5315人が受けなかった。

 2010年までの接種率はほぼ100%だった。だが生きたウイルスの毒性を弱めた生ワクチンでは、ごくまれにまひを生じる恐れがあり、保護者たちに生ワクチンへの抵抗が広がった。11年春に92・2%(全国84・2%)、同秋には90・5%(同76・2%)と減少。不活化ワクチンの導入時期が明らかになった今春、接種控えがさらに加速した。

 山口県は今春の接種率を集計していないものの、県内の小児科医を通じて接種控えが出ているという情報が寄せられている。県健康増進課は、昨年の61・1%より減少する可能性があるとみている。

 不活化ワクチンが導入される9月に、接種希望者が一気に押し寄せると、ワクチンが足りなくなる事態も起きかねない。広島県健康対策課は「ワクチンメーカーの製造計画をみると、本年度内の不活化ワクチンは十分足りる。9月初めに集中しないで、あせらず接種を計画してほしい」と呼び掛けている。(衣川圭)


ポリオ ポリオウイルスが経口感染して腸内で増殖し脊髄に入ると、乳幼児の場合は手や足にまひが起こることがある。確実な治療法がなく、ワクチン接種で抵抗力を付ける。生きたウイルスからつくる生ワクチンは乳幼児の便などを通じて感染を招く恐れがあるため、保健所単位で年2回、一斉に接種する。9月に導入される不活化ワクチンは死んだウイルスからつくるため、医療機関で計4回個別に接種する。

(2012.8.21)


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