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福山の移動図書館、開設50年
市内58カ所で巡回


   

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南蔵王町の公園で移動図書館を利用する市民

 広島県内で最も長く続いている福山市の移動図書館が今年、開設50年を迎える。全国では小規模図書館の増加や経費削減を受けて廃止傾向。しかし市中央図書館は「ニーズはある」として継続の方針だ。12日〜7月16日には、同館で半世紀をたどる写真展を開く。

 1963年10月、約300冊を積むライトバンでスタートした。今の車は5代目。約4千冊とともに、職員3人が乗って、貸し出しや返却を担う。市全域58カ所を巡回。出動は月約15日間で、1日に3〜5カ所を訪れる。

 利用者は、1世帯15冊まで1カ月間借りることができる。昨年度は6万6588冊の利用があった。

 南蔵王町の公園で5歳の次女と利用した主婦松岡志都子さん(35)は「毎回楽しみにしている」。このほか「車がなくても利用できて便利」「小さな子どもが泣いても公園なので気が楽」などの声もある。

 日本図書館協会(東京)によると、国内の移動図書館は1948年、高知県の導入が最初だった。ただ市町村合併などを機に各地で小規模な図書館が増えたこともあり、下火になりつつある。2011年の数は全国554台で、01年に比べ96台減った。

 福山市に図書館は分室を含め8施設あるが、市中央図書館は「交通手段が限られる人も多い。これからも出向いていく」としている。

 写真展は、歴代の車や各地での移動図書館の利用の様子など約70点を展示する。市中央図書館=電話084(932)7222。(久保友美恵)

(2013.6.3)


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