特報 |
| ||||
---|---|---|---|---|---|
|
第1部 島で 2002.12.10~2003.1.6
第2部 山里で 2003.1.21~2003.2.13
第3部 欧州事情 2003.2.17~2003.2.24
第4部 合縁奇縁 2003.3.17~2003.3.23
第5部 食らう 2003.4.23~2003.5.19
第6部 人こそ天敵 2003.5.29~2003.6.3
|
イノシシ防止柵(さく)として普及する建築資材のワイヤメッシュ(溶接金網)は、十センチ四方の網目で上部を柵の外側に約二〇度折り曲げれば、侵入防止効果が極めて高いことを、麻布大獣医学部(神奈川県相模原市)の江口祐輔講師(35)が実証した。近畿中国四国農業研究センター畜産草地部(大田市)での実験では、侵入率0%だった。九月にマレーシアで開かれるアジア畜産学会で研究発表する。 実験は昨年八月から十月まで、同センターを囲む山林に居着いている野生イノシシの群れなど大小十七頭を観察。センター内の餌付け場所を高さ一メートルのワイヤメッシュ柵で囲って外側に曲げ、網目が十五センチ四方、十センチ四方の金網に一週間ずつ変え、自動撮影のビデオカメラで侵入行動を記録した。 両実験とも、イノシシは二百回以上、柵に接近。十五センチ四方の金網では、成獣の侵入を完全に防いだものの、生後約六カ月の幼獣九頭が皆、網目をすり抜けた。成獣も後に続こうと、柵を押し、穴を掘る行動が目立った。十センチ四方の金網では、成獣、幼獣すべての侵入を食い止めた。 両実験とも、イノシシが柵を飛び越えようとする行動は一度もなかった。江口講師は「折り曲げた金網が頭上に見え、心理的な圧迫感があるのだろう」と推測する。 「安価で、管理の楽な獣害防止柵が農家の望み。小柄なタヌキも含め、獣害全般により実用的な柵へと改良を加えたい」と江口講師は話している。
2004.5.17
|