| 中国地方の死者11人、行方不明は23人 |
'99/6/30 朝刊
活発化した梅雨前線の東上に伴い、中国地方は二十八日深夜から 二十九日夜にかけ、広範囲に集中豪雨に見舞われた。各地で山崩れ や家屋流失が相次ぐ中、広島県内の被害は広島、呉両市を中心に拡 大し、三十日午前零時現在、九人が死亡、二十一人が行方不明に。 山口県では下関市、岡山県では高梁市で男性各一人が死亡したほ か、島根県内でも男性一人が行方不明となるなど、四県で死者は十 一人、行方不明者は二十三人に達した。夜間の救出は進まず、被害は時を追うごとに深刻化、過去十年間で最悪の豪雨禍の様相を呈してきた。
広島県内では、同日午後四時ごろ、広島市安佐北区亀山九丁目、 農業河久保敏雄さん(61)方の裏山が崩壊。土砂が河久保さん方を押 しつぶし、敏雄さんら四人が生き埋めに。約六時間後、孫の翔太ち ゃん（生後一カ月）の死亡が確認された。また佐伯区八幡が丘二丁 目の障害者施設「佐伯明星園」が土砂崩れに見舞われ、職員の深津 陽子さん(25)が死亡した。
二十九日午後三時から同五時にかけ一三六ミリの豪雨が襲った呉市
では民家の流失が相次ぎ、清水三丁目で主婦大盛たまゑさん(62)
が、的場五丁目で無職平見義治さん(70)が土砂崩れのため死亡。吉
浦東町では警備員楠範彦さん(64)方などが次々に土砂の下敷きに。
四人が生き埋めになり、楠さんが遺体で見つかった。呉市からの依
頼を受け、藤田雄山広島県知事が海上自衛隊に出動を要請。残り三
人などの捜索に当たっている。
このほか豊田郡安芸津町の農業下重安江さん(70)が崩れた土砂の 下敷きに、佐伯郡佐伯町では会社員目見田正規さん(32)の長男で友 和小三年の翼君(9つ）が増水した水路に転落し、それぞれ死亡した。
降り始めからの総雨量は、山口県大津郡油谷町で二一四ミリ、広島 県山県郡大朝町一九九ミリ、呉市一八六ミリ、益田市一七八ミリなど。特に 被害の大きかった広島県内では、三十二の観測所のうち二十三カ所 で一〇〇ミリを超えた。
氏名が判明した中国地方の死者・行方不明者は次の通り。（敬称 略）
【死亡】広島市西区横川新町、保育士深津陽子(25)▽安佐南区大塚西三丁目、会社員片平忠芳(32)▽安佐南区伴東一丁目、宮本ゆか り(29)▽安佐北区亀山九丁目、原田翔太（生後一カ月）▽呉市清水 三丁目、大盛たまゑ(62)▽同市的場五丁目、無職平見義治(70)▽同 市吉浦東町、警備員楠範彦(64)▽広島県佐伯郡佐伯町峠、小学三年 目見田翼(9つ）▽豊田郡安芸津町木谷、農業下重安江(70)▽下関市内 日下、工務店従業員原田実(52)▽岡山県阿哲郡大佐町、介護士坂口 哲也(26)
【行方不明】広島市安佐北区亀山九丁目、農業河久保敏雄(61)、 勝見(87)、チエミ(82)▽同区深川六丁目、田川正(47)▽同区安佐町 飯室、無職吉村修二(73)▽佐伯区屋代三丁目、後藤孝明(27)▽同区 五日市町上小深川、主婦平岡愛子(76)▽同所、小田伸子(72)▽同町 下小深川、無職丹田千里(86)▽同町上河内、今田正喜(86)▽同所、 鈴木美代子(29)▽同所、広瀬之江(77)▽同町下河内、佐川義紀(54) ▽同所、岡本道子(70)▽呉市吉浦東町、楠玲子(61)▽同所、タクシ ー運転手、沢清美(69)、秀子(61)▽同市上畑町、原田正江(57)▽同 所、尾方かほる(64)▽広島県安芸郡江田島町中央三丁目、小学一年 川本隆史(6つ）▽岡山県真庭郡美甘村、農業池田達男(71)▽島根県鹿 足郡日原町、安野収蔵(87)
【写真説明】呉署員や消防署員らによる救出作業で、土砂の中から運び出される楠範彦さん（29日午後10時10分、呉市吉浦東町）
