| 一夜明け、集中豪雨の惨禍広がる／中国地方 |
'99/6/30 夕刊
集中豪雨から一夜開けた中国地方では三十日、新たな死者が確認 され、惨禍が広がった。各県警などの調べでは、五県の死者は午後 一時半現在で二十二人、行方不明十三人。被害が目立った広島市や 呉市などでは、行方不明者の捜索活動が続いた。
この日朝、広島県安芸郡江田島町の川で行方不明になっていた同 町中央三丁目、郵便局職員川本清孝さん(47)の長男、小学一年隆史 君(6つ）の遺体を下流海域で発見。広島市安佐南区沼田町伴の川で は、近くの高校二年中植康晴さん(16)、島根県鹿足郡日原町の川で も近くの無職安野収蔵さん(88)の遺体が、それぞれ見つかった。さ らに行方不明だった呉市吉浦東町、主婦楠玲子さん(61)の遺体も発 見された。
死者は広島十九人、山口と島根、岡山は各一人、行方不明は広島 が十二人、岡山一人に上っている。負傷者は広島八人、山口一人。
西日本の死者は福岡と長崎県の各一人を含め、二十四人となっ た。
民家被害は広島で十六棟が全壊し、二十六棟が半壊または床上・ 床下浸水した。岡山で床下・一部損壊が三十五棟。島根は住宅の 一部損壊・床上・床下浸水が百十二棟。鳥取では床下浸水三棟だ った。
広島市で千二百七十一人が自主避難したほか、呉市では市民約五 百人が避難。賀茂郡黒瀬町でも十二世帯に避難勧告が出た。
また、呉市郷原町の長谷川で二カ所堤防が壊れたのをはじめ、広 島県内では九河川で護岸が崩壊。四十カ所でがけ崩れや土石流が発 生した。秋葉忠利・広島市長と小笠原臣也・呉市長はこの日朝、つめ跡の 残る災害現場を視察した。
氏名が判明した中国地方の死者・行方不明者は次の通り。（30日 午後1時半現在、広島県警など調べ、敬称略）
【死亡】広島市西区横川新町、保育士深津陽子(25)▽安佐南区大 塚西三丁目、会社員片平忠芳(32)▽同区伴東一丁目、宮本ゆかり (29)▽同区沼田町伴、高校二年中植康晴(16)▽安佐北区亀山九丁 目、原田翔太（生後一カ月）、河久保勝見(87)、チエミ(82)▽佐伯 区五日市町上小深川、小田信子(72)▽同町上河内、今田正喜(86)▽ 呉市清水三丁目、無職大盛たまゑ(62)▽同市的場五丁目、無職平見 義治(70)▽同市吉浦東町、無職楠範彦(64)、玲子(61)▽同所、タク シー運転手沢清美(69)、秀子(61)▽同市上畑町、家政婦原田正江 (57)▽広島県佐伯郡佐伯町峠、小学三年目見田翼(9つ）▽同県安芸郡 江田島町中央三丁目、小学一年川本隆史(6つ）▽同県豊田郡安芸津町 木谷、農業下重安江(70)▽下関市内日下、工務店従業員原田実(52) ▽岡山県阿哲郡大佐町、介護士坂口哲也(26)▽島根県鹿足郡日原 町、安野収蔵(87)
【行方不明】広島市安佐北区亀山九丁目、農業河久保敏雄(61)▽ 同区深川六丁目、田川正(47)▽同区安佐町飯室、無職吉村修二(73) ▽佐伯区屋代三丁目、後藤孝明(27)▽同区五日市町上小深川、主婦 平岡愛子(76)▽同町下小深川、無職丹田千里(86)▽同町上河内、鈴 木美代子(29)▽同所、広瀬之江(77)▽同町下河内、佐川義紀(54)▽ 同所、岡本道子(70)▽同市西畑町、尾方かほる(66)▽広島県賀茂郡 河内町、勝治孝治(62)▽岡山県真庭郡美甘村、農業池田達男(71)
【写真説明】えぐり取られ、無惨なツメ跡を残す広島市佐伯区五日市町上小深川の山肌。１キロ近くにわたり土砂が覆う（３０日午前８時５０分）
