広がる被害地 豪雨災害を上空から見る

'99/6/30 夕刊

 険しい山の尾根筋から細長く伸びた土砂崩れの跡。ふもとでは、 民家が屋根だけのぞかせて、土砂に埋まっている。中国地方で多数 の犠牲者を出した集中豪雨から一夜明けた三十日朝、被害の大きか った呉市や広島市北西部の現場を上空から見た。     (文・ 白築健、写真・浜村和義)

 四人の遺体が見つかった呉市吉浦東町。民 家二棟をのみ込んだ土石流の始点をさぐると、裏山の尾根上にたど り着く。長さは約二百メートル、幅は五~十メートル。谷に沿っ て、ほぼ一直線に落ちている。緑にうっそうと覆われた山をクギで 細く引っかいた跡のようだ。

 一家四人が生き埋めになった広島市安佐北区亀山九丁目の土砂崩 れ現場。ここでも、裏山の頂上付近から数百メートルの細長い土砂 崩れの筋ができ、テカテカ雨水で光っていた。

 最も被害個所が多かった広島市佐伯区。上小深川の土石流も、裏 山の中腹から発生していた。八幡川まで達し、その長さ一キロはあ った。付近の谷という谷は、過去の豪雨のものか判別できないが、 土砂崩れの跡があちこちにあった。

【写真説明】山腹から一直線に土砂が流れ落ちた呉市吉浦東町の災害現場。懸命の救出作業が続いた(30日午前8時20分)(左)
住民4人をのみ込んだ広島市安佐北区亀山の土砂崩れ。流れた木々がマッチ棒のように散乱していた(30日午前8時35分)


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