呉市に被災者支援法適用 広島も見通し

'99/7/1 夕刊

 野中広務官房長官は一日午前の記者会見で、広島県を中心とした 豪雨被害に関連し、今年四月から施行された被災者生活再建支援法 が初めて呉市に適用され、広島市も適用対象となる見通しを明らか にした。適用されれば、家屋全壊世帯には最高百万円が支給され る。

 野中長官は、三十日付で呉市に災害救助法が適用されたため、被 災者生活再建支援法の適用対象になると説明。広島市も適用される との見通しを明らかにしたうえで「その他市町村も被災状況に応じ て検討される」と述べた。

 また小渕首相は、三十日に政府調査団の団長として広島県を視察 した関谷勝嗣国土庁長官(建設相)の報告を受け、「急傾斜地での 災害の深刻さを知らされた」として、急傾斜地での家屋建設を制限 するための法整備を検討するよう指示した。

◆  ◇  ◆    ◆  ◇  ◆

被災地視察の建設相も支援法適用を表明

 集中豪雨の被災地視察のため広島県を訪れた関谷勝嗣建設相は三 十日、同県に対し、被災者生活再建支援法に基づく支援金支給制度 を適用する考えを明らかにした。実施されれば、阪神大震災をきっ かけに成立した同法が、初めて適用されるケースとなる。

 関谷建設相は視察後、県庁で記者会見し「今回の災害には被災者 生活再建支援法の適用が可能だと思う。建設省としても適用に異論 が出ないよう対処していきたい」と述べ、同法の初適用に向けて調 整作業に入る方針を表明した。

 同法は今年四月から施行された。自然災害で十世帯以上の住宅が 全壊するなどした市町村内の全壊・全流失・全焼世帯が対象。収入 や世帯主の年齢により、三十七万五千~百万円が支給される。

 今回の集中豪雨では、二十七世帯が全壊した広島市内は対象とな るが、九世帯全壊の呉市などは対象外となる。このため藤田雄山知 事は同日、「全被災市町村が対象となるよう配慮を」と建設相に要 望した。

 関谷建設相は激甚災害特別財政援助法の適用にも前向きな考えを 示した。また、広島県内の急傾斜地・土石流危険渓流数が全国最多 であることについて「広島県の実態は聞いており、今後、対策予算 を重点配分したい」と明言した。


HomeMenuNext