新たに1遺体収容 広島市安佐北区亀山

'99/7/2 朝刊

 中国地方の集中豪雨被害から三日目の一日、行方不明者の捜索が 広島市、呉市などで懸命に続いた。午後十一時半ごろ、広島市安佐 北区亀山九丁目、農業河久保敏雄さん(61)方敷地内の土砂崩れ現場 から、河久保さんの遺体が見つかり、死者は二十七人、広島県内は 二十四人となった。梅雨前線が北上、二日から雨足が強まる恐れも ある。広島市は同日、佐伯区内の五カ所で避難勧告するなど、関係 機関が注意を呼びかけている。

 残る行方不明は広島県七人、岡山県一人。会社員の後藤孝明さん (27)が生き埋めになった広島市佐伯区屋代三丁目では、土砂や倒壊 した家屋を取り除く作業が終日、続いたが、手掛かりはなかった。 安佐北区飯室の民家の裏山が崩れ、一日が誕生日の会社社長吉村修 二さん(74)が不明になった現場でも、直径一メートルを超す岩が無 数に広がり、作業は難航した。一方、川に流されたとみられる不明 者の捜索のため、海上保安部の巡視船が、広島湾や呉湾の捜索も続 けた。

 被害が集中した広島県では、住宅の破損が全壊含め二百四十七 棟、床上浸水が四百二十八棟。被災地では土砂に埋まった家や商店 を片付けるなど、生活再建の営みも始まったが、家を失ったり、危 険が迫る世帯は、なお避難所で不安な夜を過ごした。一方、道路は 広島県内で百十カ所の通行止めが続き、広島市佐伯区屋代地区など五百 世帯余りでは夜間まで断水が続いた。

 中国地方は二日から再び本格的な雨となりそう。広島地方気象台 によると、三日まで降り続く見通しで予想雨量は多いところで六〇 ミリ、局地的に一時間雨量も三〇ミリに達するところもある。同気象台 は「地盤が緩み、少ない雨でも山崩れ、がけ崩れの恐れがある」と 警戒を呼びかけている。

【写真説明】行方不明の後藤孝明さんの捜索が続く広島市佐伯区屋代3丁目の災害現場。後方は同区五日市の市街地(1日午前)


HomeMneuNext