倒木や土砂あふれた砂防ダムにあらたな危険

'99/7/2 朝刊

 集中豪雨による山林崩壊などで、広島県内各地の砂防ダムに倒木 や土砂が流入している。これまでの雨で地盤が緩んでいるのに加 え、さらに降れば新たな土砂災害が発生する危険もあるため、県災 害対策本部(本部長・藤田雄山知事)は一日、市町村に早めに避難 勧告を出すよう通知した。また県は、被災地など県西・南部を中心 に、初めて航空写真による調査を開始。崩落状況を調べ、市町村に 危険個所の情報を提供する。

 災害対策本部はこの日、各部が被害状況や対応などを報告。「わ ずかな雨でも災害が起こりやすい状況」(県民生活部)とし、がけ 崩れや土石流に備え、早めに避難勧告を出すよう各市町村に通知し た。

 航空写真は、大きな被害が出た広島市佐伯区、安佐北区、呉市な ど三市四町で撮影。被災地のほか、ほぼ全域を七百五十メートル四 方に区切って連続的に写した。

 航空写真を基に、地上からでは確認されていない山林の崩壊個所 を割り出したり、砂防ダムに流れ込んでいる土砂、倒木のたい積状 況などを分析したりする。新たな崩落の危険性が高い場所、民家や 公共施設、道路への影響が懸念される地点は市町村に通知し、災害 防止策に役立てる。

 藤田知事は「被災地を上空から視察した際、危険な個所がいくつ もあった。市町村は、住民への啓発や避難勧告に航空写真を活用し てもらいたい」と話している。

 また、災害対策本部は県民に対し「気象、防災情報に注意し、停 電や避難時の準備を整えてほしい。地すべりなどの予兆があれば、 早めに避難して」と呼び掛けている。

【写真説明】土石流が砂防ダムを越え流れ込んだ観音台団地(6月30日午前9時、広島市佐伯区)


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