避難勧告2338世帯 広島県内に再び強い雨

'99/7/3 朝刊

 中国地方は二日、梅雨前線が再び活発化。広島、山口、島根の各 県に大雨洪水警報が出され、本格的な雨に見舞われた。先月二十九 日の集中豪雨で深刻な被害を受けた広島県内では、広島市など二市 七町で二千三百三十八世帯、少なくとも四千八百二十五人が避難勧 告を受け、学校や公民館などで不安な夜を過ごした。萩市などでは 土砂崩れの被害も出始め、広島地方気象台などは二次災害を含めて 警戒を強く呼び掛けた。

 萩市や山口県阿武郡須佐町では午後九時から十一時にかけて時間 雨量二五ミリに達し、広島市中区でも午前零時までに四一ミリ、広 島県山県郡戸河内町で六一ミリ、芸北町で五〇ミリの雨量を記録し た。中国地方では三日夜にかけ、降り始めからの雨量が多いところ で百ミリに達する見通しで、局地的に時間雨量四〇ミリの豪雨になる 恐れもあるという。

 広島市は午後六時、二十年ぶりに災害対策本部を設置。安佐南 区、佐伯区、安佐北区、西区の四十五カ所で午後十時までに千百五 十二世帯、二千八百七人に避難勧告。自主避難を含め千七百人余り が、近くの学校などに移動した。広島市佐伯区観音台三丁目の県立 五日市高校の体育館にも住民二百五十人が疲れた体を横たえた。

 呉市も、四人が死亡した土砂崩れ現場のある吉浦東町などで、千 一世帯、少なくとも千四百五十六人に避難勧告し、五百人余りが避 難所に身を寄せた。広島県賀茂郡黒瀬町も百二十世帯の四百人に避 難勧告した。

 一方、行方不明者の捜索活動も続いた。二日午前には広島市佐伯区五日市町下小深川、農業丹田千里さん(86)の遺体を土砂の中で発見。豪雨災害による中国地方の死者は二十八人になった。広島県六人、岡山県一人は、まだ見つかっていない。

【写真説明】雨音が強まる避難所で不安な夜を迎えた住民。疲労も色濃い(2日午後9時、広島市佐伯区観音台3丁目の五日市高校体育館)


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