広島県の豪雨禍 さらに1遺体収容

'99/7/3 夕刊

 梅雨前線の活発化により二日から激しくなった中国地方の雨は三 日午前、峠を越えた。大きな被害はなく、公民館などに避難してい た住民らは自宅に戻り始めた。この日朝からの捜索では、先月二十 九日の豪雨で行方が分からなくなっていた広島市安佐北区安佐町飯 室、農機具販売修理会社社長吉村修二さん(74)が遺体で見つかっ た。これで豪雨災害による中国地方の死者数は二十九人、広島県内 で二十六人となった。

 中国地方各地の一日深夜の降り始めからの雨量は、島根県隠岐郡 町海士町で一三二ミリ、広島県山県郡芸北町王泊で一〇八ミリ、山 口県阿武郡阿東町で一〇六ミリに上った。多くの豪雨被害を出した 広島市は五四ミリ、呉市は四六ミリだった。

 三日午前には強い雨の区域は、広島県東部や岡山、鳥取県へ移っ ている。午前十一時四十五分、広島地方気象台は広島県全域の大雨 洪水警報を解除、注意報に切り替えた。岡山県北部には大雨洪水警 報が引き続き出ている。

 佐伯区や安佐南区を中心に千三百三十三世帯に避難勧告が出た広 島市では、学校や公民館など四十七カ所で約三千四百人以上が不安 や一夜を過ごした。雨が上がった早朝から自宅へ戻る帰り始める人 もいた。呉市でも、千二十九人が四十七カ所の避難所で過ごした。

 不明者の捜索は広島県警が計約二百人を動員し、それぞれ午前八 時―同八時半から再開した。土砂崩れがあった安佐北区安佐町飯室 では、安佐北消防署の消防隊員や可部署員ら二十六人が、ショベル カーを投入して作業。午前九時十分ごろ、自宅裏の倒壊した建物の 下から、吉村さんの遺体が見つかった。同県内の行方不明者は五人 となった。

 広島市内の四カ所の捜索には消防署員や消防団員ら計約二百二十 五人も参加。同市佐伯区を流れる八幡川河口の沖合では、警備艇や 消防艇、海上保安部の巡視艇計五隻も捜索に当たっている。

広島県で97校が休校

 広島県内では三日も、県西部で小・中・高校の休校が相次いだ。 県教委の午前十時現在の集計では県内の公立学校は県西部で加計高 校など高校四校、盲・ろう・養護学校八校と二十二中学校、六十三 小学校、合わせて九十七校が休校した。

 また、二十校が、繰り下げ、打ち切りを決めた。

【写真説明】避難所で不安な一夜を過ごし、自宅の後片付けに帰る市民たち(3日午前7時40分、広島市佐伯区の広島工業大体育館)


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