生活再建へ相談体制や早期復旧を要望

'99/7/5 朝刊

 集中豪雨で自宅の全半壊などの被害に遭い、途方に暮れる被災者 たち。自宅に帰れず避難生活を続ける人たちは、二次災害の不安に さいなまされている。生活再建の一歩を踏み出すために、相談体制 の拡充や一日も早い復旧を求める声は強い。

相談体制

 広島市の安佐北区と安佐南区は五日から、被災者を対象にした総 合的な相談窓口を区役所に設置する。り災証明の発行や市の災害見 舞金支給、住宅対策など支援制度も紹介する。避難勧告地域が残る 佐伯区も窓口の設置を急いでおり、避難所にも窓口を設ける予定。

 佐伯区の避難所を巡回診療した日本赤十字社県支部によれば、不 眠を訴える被災者が目立ち、心のケアも課題になっている。

 広島市では四日まで、各区の保健婦が避難所を巡回して生活、健 康相談に応じてきた。被災者は分散傾向にあり、市社会局は「今 後、被災者の精神面でのケアについて、関係機関や地域と連携を取 りながら対応したい」としている。

 呉市は五日から、市役所七階に相談窓口=電話0823(25) 3562、3563=を設け、復旧作業などの相談や各種支援制度 の紹介などに当たる。市災害対策本部は「がれき一つを取り除くに しても、どうしたらいいのかとの声を聞く。よろず相談の窓口にし たい」と話している。

砂防ダムへの道路復旧急ぐ
二次災害防止

 土石流が民家を直撃した広島市佐伯区五日市町上河内、下河内地 区では、集落上流にある砂防ダムが大量の土砂や流木で満杯になっ た。避難勧告が出たままで、住民たちは「早く土砂の除去を」と二 次災害に不安を募らせている。

 佐伯区観音台三丁目の観音台団地近くの砂防ダムも満杯。百六十 世帯にまだ避難勧告が出ている三丁目町内会の佐々木千明会長(48) は「ダムにはまだ直径二、三メートルの岩が残っている」と不安を 隠せない様子だ。

 復旧作業に当たる広島県広島土木建築事務所によると、土石流が 発生した砂防ダムに重機を運ぶには、そこまでの道路復旧が先決。 県砂防課は「苦情が出ているダムを重点的に、通路の確保を急ぎ、 土砂や流木の撤去作業を進める」と話している。

【写真説明】土砂を片付ける住民。生活再建への一歩を踏み出す前に多くの課題が立ちはだかる(4日午後、広島市佐伯区五日市町上河内)


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