ボランティア加わり被災地の復旧作業進む

'99/7/5 朝刊

 集中豪雨による災害後初めての日曜日となった四日、広島県内の 被災地では地元住民にボランティアも加わり、復旧作業が進んだ。 土砂や流木の撤去作業に続き、五日からは大型ごみの回収も始ま る。

ボランティア

 家屋二十棟が土石流に流され、依然一人が行方不明の広島市佐伯区屋代地区には、各地からボランティアが駆け付けた。 市のボランティア本部から派遣された四十一人も、流木を運んだ り、土砂を道路わきにかき出して道を作った。同市南区比治山 町、広島大学専攻科林健児郎さん(24)は「じっとしていられなかっ た。これからも、学校が休みの日はお手伝いしたい」。

 広島工業大生のグループもショベルを手に地域を回り、住宅敷地 内の土砂を取り除いた。屋代三丁目の主婦大谷美佐緒さん(40)が 「よくがんばってくれます」と、ミネラルウオーターを差し入れて いた。

 土砂崩れで一家四人が犠牲になった広島市安佐北区亀山九丁目では、午前九時から 地元の勝木自治会(綿崎英之会長)の百三十人が汗を流した。

 建設業者ら地元の四事業主がダンプカーや小型ショベルカーを持 ち寄り、土砂を取り除いた。庭や自宅前の道路が土砂で埋まってい た会社員西本育子さん(52)は、「家族だけではどうにもならなかっ た。大助かりです」と感謝していた。

ごみ収集

 広島市佐伯区や安佐北、安佐南区では日曜日にもか かわらず、ごみ収集車が巡回した。住宅地では、道路に積もった土 砂を市のトラックが次々と運び出した。各住宅からは、泥まみれの たんすや畳など大型のごみが運び出され道路に山積みに。

 「使える物と使えない物をまず選別しなくては…」と泥のついた たんす三つを運び出していた佐伯区屋代三丁目、教員嵜義昭さん (38)。巡回中のごみ収集車には、住民から紙やびん、缶などのごみ 袋が次々と持ち込まれた。

【写真説明】上=バケツリレー 床下にたまった泥水を、バケツリレーでくみ出すボランティア。各地から訪れたグループや個人が一体になり、復旧を目指す。服は泥まみれ、鼻やあごの先からは汗がしたたっていた(広島市佐伯区屋代3丁目)

下左=小川で洗う 道路だけでなく、家の中にも流れ込んだ土石流は、ひざの高さまで積もった。自宅からガラス戸や皿を運び出し、小川で洗う住民(広島市安佐北区亀山9丁目)

下右=炊き出し 土砂崩れの被害で、三世帯八人の住民が避難している吉浦公民館では、地区の女性団体が夕食の炊き出しをしてハンバーグや煮しめなどを提供。災害から六日目を迎えた避難者たちは温かい家庭料理を口にした(呉市吉浦東本町1丁目)



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