広島県、防災・被災者支援策見直し

'99/7/6 朝刊

 広島県西部を中心に大きな被害が出た集中豪雨を受けて県は五日、防 災対策と被災者支援策の総合的な見直しを決めた。災害対策本部設 置の遅れを教訓に、設置基準を明確に規定するなどして迅速化を図 る。また、住宅全壊世帯への見舞金を現行の三万円を十倍の三十万 円に引き上げるなど、独自の支援策を強化する。

 藤田雄山知事が記者会見し、防災対策と支援策の見直しを明らか にした。災害対策本部の設置が被害発生の翌日になった点について 藤田知事は「当日設置した災害警戒本部が同等の機能を果たした が、知事を本部長とする対策本部を設置して県民に安心感を与える という観点から、遅れは率直に反省する」と陳謝した。

 そのうえで知事は「今後は、ある程度の規模の被害が予想される 場合は、すぐに対策本部を立ち上げる仕組みを考えたい」と言明。 現在の防災マニュアルが想定していない同時多発災害への対応や、 対策本部の設置基準の明確化、職員の防災訓練、市町村との情報連 絡ネットワークなどを抜本的に見直す考えを示した。

 被災者支援策も大幅に改める。災害見舞金を今回の被災者から従 来の十倍に引き上げ、全壊世帯へ三十万円、半壊世帯へ十万円を支 給する。また、住宅建設資金貸付制度や中小事業者向けの融資制度 を改正。住宅貸し付けは金利を三%から一・六%に引き下げ、新築 五百万円、増改築三百万円を限度に貸し出す。

 今回の豪雨禍では、県内の全壊住宅が被災者生活再建支援法の都 道府県適用の基準である百世帯を超えたため、県内全域の全壊世帯 に最高百万円の支援金支給が決まった。しかし、今後の災害では、 一部市町村にしか適用されないケースも考えられる。そのため藤田 知事は「対象外となった市町村の全壊世帯を支援する県独自の制度 創設を考えたい」と表明した。

【写真説明】県の災害対策見直しで記者会見する藤田知事


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