豪雨禍の広島市佐伯区 廃材流出で二次災害の恐れ

'99/7/8 朝刊

 集中豪雨で土石流による死者が出た広島市佐伯区屋代地区の山手 側の集落付近で、コンクリート片などを積み上げた廃材置き場のが けの一部が崩れている。地元住民らが以前から「いつ崩れるか分か らない」と、市に改善を要望していた場所。七日、現地を調査した 市産業廃棄物指導課は「市の許可が必要な産廃処理業者ではないの で、法的指導はできないが、業者に二次被害を防ぐよう求める」と している。

 現場は、犠牲者が出た所から北へ約五百メートルの佐伯区屋代 町。がけは高さ約七十メートルで、水田を挟んで約二百メートル下 方に十数世帯の民家が並ぶ。土地を所有する佐伯区内の土木建築業 者が、約五年前まで建設残土置き場にし、最近は別の業者がアスフ ァルト片などの仮置き場に使っていた、という。

 六月二十九日の集中豪雨では、近くの屋代川の土石流で、集落の 民家や水田に被害が出た。がけの一部はこの時に崩れ、コンクリー ト片が落下したという。

 土木建築業者によると、十五年ほど前から、既に残土はあり、が け崩れを防ぐためコンクリート製の壁を作っている。業者は「一部 のコンクリート片が流されたのではないか。今はがけ周辺も含め修 復工事をしている」と話す。

 しかし、住民によると、地区では十数年前にもがけ崩れでコンク リート片などが集落に流れ込み、その後も小規模ながけ崩れが発 生。「大雨が降ったら危ない」と再三市に訴え、市は調査のうえ今 年一月、業者に「適正な管理を」と指導していた。

【写真説明】住民らが二次災害を心配するがけ。斜面にコンクリート片が散らばっている


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