衛星データ使い危険度マップ作製/広工大

'99/7/9 朝刊

 広島工業大学(広島市佐伯区三宅二丁目)は、集中豪雨で大きな 被害を受けた広島市西部とその周辺の「斜面崩壊危険度推定マッ プ」を作製し、八日発表した。まだ試験段階だが、地球観測衛星か ら得たデータを危険度推定に初めて活用した。崩れやすい山地の多 い広島都市圏の特徴を映し出している。

 作ったのは、環境学部の菅雄三教授(遠隔探査学)のグループ。 六月二十九日の集中豪雨直後から、フランスの地球観測衛星「スポ ット」の観測データを受ける準備に入った。独自に開発したマップ 作成システムを使い、災害前(一月三十一日)、後(七月六日)の データを基に、広島市佐伯区を中心とするマップを完成させた。

 「スポット」の画像データから、森林、伐採地、道路、住宅団地 など土地がどんな物質で覆われているのか分析し、水の流れやすさ を評価。これに地形のこう配などのデータを加え、十メートル四方 ごとに、推定される斜面崩壊の危険度をはじき出した。

 マップでは、崩壊の推定危険度を十一段階に色分けした。危険度 は黒、青色で低く、赤くなるほど高い。「最も危険」から三段階だ けを抜き出して赤色を付けたマップも作った。

 また、今回の豪雨による被災状況も、一月の衛星観測結果と比べ ることにより、画像に表した。

 広島県庁で会見した菅教授は「本格的な運用に向け、きめ細かい 降雨量などのデータも盛り込むことが課題」とした上で、「山肌の 開発が進む団地の危険度の評価が必要と考え、作製に取り組んだ。 行政の防災対策に活用してもらいたい」と述べた。

【写真説明】広島市佐伯区とその周辺の斜面崩壊危険度推定画像。危険度11段階のうち、高い方から3段階を赤色で表している(広島工業大学/宇宙開発事業団提供 (c)CNES1999SPOT(R))


HomeMenuNext