砂防学会が中間発表 防災配慮の土地利用提言

'99/7/20 朝刊

 土木や環境の専門家でつくる「砂防学会」の広島土砂災害緊急調 査団(団長・海堀正博広島大助教授、七人)が十九日、六・二九豪 雨災害の広島市佐伯区内の被災地三カ所を調査し、これまでの広 島、呉両市での現地調査と総合した中間結果を発表した。

 土砂崩れの発生場所と局地的に豪雨となった地域が重なり「土石 流やがけ崩れの発生に豪雨が強く影響した」と指摘。早急に危険個 所を点検して防災施設を整備することや、長期的には、土地利用に おける防災面への配慮、雨量観測網の充実などを提言した。

 六月二十九日の広島、呉両市周辺の一日降雨量の分布図は、気象 庁や県、市の雨量観測データを使って作成した。一〇〇ミリ前後の広 島市中心部を挟み、佐伯区から安佐北区可部にかけての線と、呉市 の南西―北東線の付近で一五〇―二〇〇ミリの大雨を記録したことが わかる。時間雨量も同じ線上で高い値だった。

 このほか、小さな渓流でもダムを乗り越えるほどの土石が流れ出 た点や、佐伯区の古野、荒谷、屋代の各河川では、スギや松が大量 の流木となり被害を大きくした特徴を挙げた。

 海堀団長は「宅地開発や住宅の配置には細心の注意が必要。ま た、適正な防災施設を造らなけれ ばならない」と話した。


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