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「国際民衆法廷」判事役のコスタリカの法律家が来日 '06/7/9

 ▽原爆投下の違法性を裁く

 「日本は歴史的岐路にある。非武装中立の意義を語り、九条に思いを寄せる市民と連帯したい」。「軍隊のない国」コスタリカの国際法研究者は、憲法九条をめぐる日本国内の議論の変化を受け、訪日を希望した。

 国際反戦法律家協会の副会長も務める大学教授。親交のある日本の弁護士や大学教授らが招聘(しょうへい)委員会を結成し、訪日をバックアップした。今月十七日まで日本各地で市民集会に参加し、十五、十六日には広島で原爆投下の違法性を裁く「国際民衆法廷」の判事役を務める。

 人口四百万人の同国は一九四九年、内戦終結を期に軍隊を廃止した。国家予算の三割が教育費。「負の歴史も直視できる、自律した市民を育てる教育が国の屋台骨」と強調する。

 一方で、「コスタリカだってユートピアじゃない」と説く。八〇年代、隣国ニカラグアやエルサルバドルで内戦が激化。軍事介入拠点がほしい米レーガン政権から度重なる干渉を受けた。ゲリラと難民が押し寄せた。

 それでも非武装中立を堅持したのは、「対話が最大の安全保障だから。丸腰ゆえ他国から攻撃されないし、紛争の両当事者も話を聞いてくれる」。日本へ向かう機中で、隣席に居合わせた在韓米軍兵士に軍備廃棄と核兵器廃絶の意義を七時間語った「対話の人」だ。

 広島訪問は、同国外務省の一員として滞在した八九年以来。「被爆者がいかに悲惨な体験をしたか、世界の関心をもう一度喚起する機会にしたい。将来、核兵器がもたらす結末を実感できない人たちが、危険な行為に走らないように」(金崎由美)

【写真説明】原爆投下の違法性を裁く「国際民衆法廷」の判事役を務めるコスタリカの法律家カルロス・バルガスさん(49)


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