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被爆石、収容所の地に渡る 現地市長が要請 '06/7/29

 ▽核廃絶の伝言添え寄贈

 広島市は、市役所旧庁舎の「被爆石」を、ナチスドイツのアウシュビッツ強制収容所があったポーランドのオシフィエンチム市に贈った。記念の丘をつくろうという元収容者らの呼びかけを受け、石版の提供を求める現地の市長からの要請にこたえた。大量虐殺の地で、核兵器廃絶の願いを静かに語りかける。

 市国際平和推進部によると、オシフィエンチム市長の親書は四月に届いた。戦争犠牲者に敬意を表し、世界平和構築を目指すための「記念と融和の丘」建設計画への賛同と、記念の石版の送付を求める内容だった。

 広島市は、平和を願うモニュメントには被爆石がふさわしいと判断。旧庁舎の階段部分と見られる被爆石を縦、横各約二十センチ、奥行き約十二センチに加工して送った。その取り組みに敬意を表し、「核兵器廃絶と世界恒久平和実現のため、ともに行動するよう期待する」という秋葉忠利市長のメッセージも添えた。

 旧庁舎の「被爆石」は今回のポーランドを含めて国内外の九十六カ所に寄贈されている。(宮崎智三)

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 アウシュビッツ強制収容所
 ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺に用いられた最大規模の強制収容所。1940年6月、現在のポーランド・オシフィエンチム市郊外に開設。当初は、ポーランド人政治犯を収容していたが、増設を繰り返し、42年からユダヤ人を中心とする「絶滅センター」として機能した。45年1月にソ連軍が解放するまでにガス室などで殺害・死亡した人数は、ユダヤ人のほか、ロマ、ソ連軍捕虜など110万〜150万人(推定)。現在は博物館として残され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている。

【写真説明】広島市がポーランドのオシフィエンチム市に贈った旧庁舎の被爆石


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