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8・6を空から目撃 祖父のドキュメント '06/8/4

 ▽「戦争いけん」 若者に届け

 戦争だけはしたらいけん―。「あの日」の午後、海軍のパイロットとして広島上空を零戦で飛んだ福山市の故中林正春さんの肉声が入ったドキュメンタリー作品を広島市中区の国泰寺高放送部が制作、五日に京都市である全国高校総合文化祭で発表する。部長は中林さんの孫ゆきさん(16)=東区。完成作品を見ることなく、この三月に八十歳で急逝した祖父のメッセージを全国に届ける。(岡田浩平)

 ▽広島の国泰寺高放送部 全国大会で発表へ

 音声と写真で構成する五分間の作品。十六歳で海軍に入隊した中林さんは空中戦で胸を負傷し、志願していた特攻隊に入れなかった。戦友が亡くなる中、「罪の意識」を感じつつ、一九四五年八月六日午後、朝鮮半島へ零戦を輸送する途中に広島上空を飛んだ。

 「ぺちゃーっとなぎ倒したかっこう」。作品の中で中林さんは、上空から見た広島の町の惨状をこう表現している。「爆風で家が転げとるんじゃけえな、皆。ひどいことやっとるなあ思うて」と、あの日の光景を実直な声で語りかける。

 特攻や戦争を美化せずに、「あんたらも、戦争を恐ろしい思おう?こっくらい恐ろしいものはない」と、孫世代の子どもたちを諭している。

 自宅に平和記念館をつくり、戦時中の写真や零戦の模型を展示していた中林さん。そうした祖父の姿を、昨年入部したゆきさんが部員たちに話した。「ドキュメンタリーに仕立ててみよう」。先輩と一緒に聞き取りや資料集めを始めた。

 昨年十一月、広島県予選で一位になり、県代表に選ばれた。部員たちは冬休みに作品を見せに行くつもりだったが、忙しくてかなわなかったのを悔やむ。

 仏前には今も県予選のトロフィーが供えてある。「おじいちゃんの戦争体験を全国から集まる高校生に知ってほしい。『平和・日本』を伝えたい」とゆきさん。今度は日本一を仏前に報告するつもりだ。

【写真説明】全国大会を前に写真を映すタイミングなどを話し合う、ゆきさん(右端)たち放送部員。戦時中の写真も中林さんが提供してくれた(撮影・高橋洋史)


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