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ヒロシマあす「原爆の日」 English '06/8/5

 広島は六日、米国による原爆投下から六十一回目の「あの日」を迎える。苦難から立ち上がった被爆者は年老いた今なお、「絶対悪」とする核兵器の廃絶を世界に訴え続けている。しかし、その道筋は見えず、アジアや中東など各地で緊張と戦火はやまない。力ではなく、対話と理性を重視するヒロシマの心をいかに引き継ぎ、どう共鳴者を増やしていくのか、被爆地の責務は重みを増している。

 全国の被爆者は三月末現在で、二十五万九千五百五十六人。二十年前より十万人以上も減り、二十六万人を割り込んだ。平均年齢は七三・八五歳と、昨年三月末より〇・七六歳上がった。最も若い原爆小頭症患者も還暦を迎えた。

 そうした被爆者の不安をかきたてる出来事が世界で続く。イランの核開発問題や、核兵器製造を宣言した北朝鮮のミサイル発射、イスラエルのレバノン侵攻など核拡散の懸念や対立は絶えない。

 国内でも、地域住民の思いとは裏腹に、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転に象徴される在日米軍再編が進む。被爆体験を礎として築き上げてきた戦後平和の基盤を揺るがす動きが相次いでいる。

 中国新聞社が実施した全国の被爆者団体へのアンケートでは、活動は今後長くても「あと十年」とする回答が目立った。被爆体験継承と核兵器廃絶を急げ、とのメッセージにも受け取れる。

 広島は決して昔話ではないことが四日、あらためて示された。原爆症認定集団訴訟の判決で広島地裁は、内部被曝をはじめ放射線の人体影響は、科学的に未解明な領域が多く、「人知の壁」の存在を突き付けた。放射線の人体影響にも終わりはない。

 秋葉忠利市長は六日の平和宣言で、世界の都市と市民に目覚め、行動するときだと呼び掛ける。先頭に立つべき被爆地に再びめぐり来る「あの日」。慰霊と平和への願いに包まれる中、果たすべき役割を静かにかみしめたい。(宮崎智三)

【写真説明】海外や国内各地から訪れる人びとでにぎわう原爆慰霊碑。被爆地広島に、また静かな祈りの日が訪れる=広島市中区(撮影・坂田一浩)


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