原爆投下後、多くの負傷者が運ばれ、犠牲者が埋葬された似島(広島市南区)で五日夜、被爆二世の歌手山村貴子さん(47)=南区=の船上追悼コンサートがあった。鎮魂の歌声が島を包んだ。
ステージは、市民ら約百人を乗せ広島港から似島に向かったフェリーの車両甲板。白血病で亡くなった佐々木禎子さんが詞のモデルとなった「ORIZURU」など四曲を、涙を浮かべて熱唱、平和への願いを込めた。
船内には平和記念公園(中区)の「平和の灯(ともしび)」から採火したランタンも置いた。
似島の遺骨発掘調査で二年前、妹の名札が見つかった安芸区の内谷司さん(80)は「六十二年たっても悲しみは消えない。少しでも妹の霊を慰められればと思って」と歌声に耳を傾けていた。(境信重)
【写真説明】被爆者への鎮魂の歌声が響いた船上追悼コンサート(5日午後8時、広島市南区の似島)
    
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