ヒロシマの声届けよう 被爆者4人が出発
五月二日から米ニューヨークの国連本部で始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、広島から百人を超す被爆者や市民が訪米する。各団体は「被爆地の声を届けよう」と一致協力し、会議をてこに、停滞する核軍縮の前進を目指す考えだ。十五日、第一陣となる被爆者四人が出発した。
二つの広島県被団協が合わせて十六人の被爆者や被爆二世を派遣するのをはじめ、広島から現地に向かうのは十団体で百人余り。約千人とみられる国内参加者の一割を占める。各団体とも現地で再検討会議の傍聴、各国政府代表へのロビー活動、各地の平和団体との交流などを繰り広げる。
再検討会議は五月二十七日までの四週間。核軍縮に後ろ向きな米国の姿勢もあり、識者の間では会議の展望に悲観的な見方がある。前回(二〇〇〇年)の会議が核兵器廃絶を明確に約束する最終文書を採択し評価されたのとは対照的に、最終文書が採択されそうにないとの危機感も広がる。
このため市民団体とは別に、平和市長会議の会長である秋葉忠利広島市長、被爆者の山下三郎廿日市市長らも訪米。核兵器廃絶を強くアピールする。二〇二〇年までの廃絶を目指す緊急行動を提唱している平和市長会議は、再検討会議を重要な節目ととらえ、加盟している各国の市長ら約九十人を送り込む構え。秋葉市長は、四日または十一日にある非政府組織(NGO)セッションで演説する予定だ。
この日出発したのは県被団協(金子一士理事長)の四人。JR広島駅で見送り式があり、団長の村田忠彦副理事長(65)は「無念のうちに死んだ被爆者の思いも代弁し、期限付きで核兵器廃絶を約束させるよう努力したい」と決意を述べた。
(2005.4.16)