国連舞台に被爆紙芝居上演へ
三次の山口さん遺作
■呉の講釈師、核抗議を墓前に誓う
昨春、七十三歳で亡くなった三次市の自営業山口昭治さんの「被爆体験紙芝居」が、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開幕に合わせ五月二日、ニューヨークの国連本部で上演される。語り手の講釈師、緩急車雲助さん(73)=呉市=が二十二日、庄原市水越町にある山口さんの墓前で出発報告をした。
山口さんが、体験継承のため二〇〇二年に描いた「昭ちゃんの原爆被爆体験記」。学徒動員中、病気で入院中の病院で看病していた母親とともに被爆。重傷を負った母親が、庄原へ帰郷後に妹を出産するシーンに、平和への願いを託している。
形見として紙芝居を預かるおいの農林業、啓二さん(43)=水越町=の依頼で、緩急車さんは昨春から広島市中区の平和記念公園などで修学旅行生に披露してきた。
墓前で緩急車さんは「紙芝居で核兵器の悲惨さを訴え、進まない核廃絶に抗議する。見守っていてほしい」と手を合わせて誓っていた。二十九日に出発し国連本部ロビーでの上演のほか、五日まで学校などでの上演を検討している。
啓二さんは「今年は被爆六十周年の年でもあり、おじの遺志が世界に伝わるとすれば、これ以上のことはない」と話している。
(2005.4.23)