テロ遺族と交流 米で被爆者ら
【ニューヨーク1日宮崎智三】国連本部で二日午前(現地時間)に開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、ニューヨークに滞在中の広島の被爆者や市民グループは四月三十日、地元平和団体との交流や街頭署名などの活動を本格化した。
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テロ遺族のルブランさん(左側中央)たちに被爆体験を証言する空さん(右)
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核兵器廃絶をめざすヒロシマの会などの約四十五人は、米中枢同時テロ犠牲者の遺族でつくる「ピースフル・トゥモロウズ」などと交流会を開いた。テロで夫を亡くしたアンドレア・ルブランさんら米国側の三人が、核兵器や戦争のない世界をめざす思いを語った。
空フミ子さん(75)=広島市南区=は原爆で左目を失った体験を証言。会合後、「市民が犠牲になるのは原爆もテロも同じ。核兵器にも戦争にもノーという被爆者の思いは伝わったと思う」と話していた。
広島県原水協の約三十人は雨の中、繁華街のマディソン・スクエア・ガーデン周辺で核兵器廃絶を求める署名活動をした。「握手を求めてくる人がいて反応は予想以上」と松本真事務局長。午後はエジプトの国連大使や米国の平和活動家による集会に出席し、「米国が核軍縮に背を向け、再検討会議の見通しは厳しい」「打開には国際世論の盛り上げが不可欠だ」などの意見に耳を傾けた。
秋葉忠利広島市長もこの日、ニューヨーク入りした。非政府組織(NGO)などの核軍縮ネットワーク「中堅国家構想」の会合で発言し、自らが会長を務める平和市長会議が提唱している、二〇二〇年までの核兵器廃絶を目指す緊急行動(2020ビジョン)への支持を呼びかけた。
(2005.5.2)