被団協の坪井さん、被爆者の苦しみ訴え
米市民ら拍手
【ニューヨーク1日宮崎智三】核兵器廃絶への明確な約束を守れ―。ニューヨーク・セントラルパークで一日午後(日本時間二日未明)にあった反核・反戦集会で、日本被団協代表委員の坪井直さん(79)=広島市西区=が人類の悲願である核兵器廃絶を強くアピールし、参加者から万雷の拍手を浴びた。
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セントラルパークでの集会で、被爆体験を話し核兵器廃絶を訴える坪井さん(撮影・松元潮)
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坪井さんは、血だらけの被爆者や黒焦げの死体が横たわるなど「この世の地獄だった」と被爆直後の様子を証言。「多くの被爆者が病気との闘いを強いられている」と現在も続く放射線の影響に触れ、「たとえ生き残っても精神的、身体的な人間破壊が生涯続く。原爆は絶対悪だ」と語気を強めた。
五年前の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が合意した核兵器廃絶への明確な約束について、「行動に移すべきだ」と力を込めると、会場は拍手と歓声の渦に。坪井さんは最後に「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ヒバクシャ」と声を張り上げた。
被爆体験を聞くのは初めてというニューヨーク在住のキャリー・フェリシアノさん(26)は「今も被爆者たちが病気に苦しんでいるとは知らなかった。(ボランティアで教えている)子どもたちに伝えたい」と話した。
スピーチの後、坪井さんは「原爆を最初に使った米国の地から、核廃絶の世論を起こしていくことが大事。責任は重いが今後も訴え続ける」と述べ、二日に開幕するNPT再検討会議に向け闘志をみなぎらせていた。
(2005.5.2)