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「原爆は絶対悪だ」
被団協坪井さん、秋葉広島市長 会議前集会で訴え

 【ニューヨーク1日宮崎智三】原爆は絶対悪だ―。ニューヨークのセントラルパークで一日あった集会で、日本被団協代表委員の坪井直さん(79)=広島市西区=は被爆体験を話し、秋葉忠利広島市長は核兵器廃絶をアピール。二日開幕の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に、被爆者や市民の声を届ける決意を響かせた。

 秋葉市長は、二〇二〇年までの核兵器廃絶を提唱している平和市長会議の会長としてスピーチし「核兵器は地球を死に至らしめるがん。米国を含む世界の圧倒的多数は廃絶を求めている。今日、人類の生き残りをかけた運動が始まる。核兵器に反対する戦いに一緒に勝ち抜こう」と呼び掛けた。

 続いて坪井さんが「この世の地獄だった」とあの日の惨状を証言し、「被爆者は、たとえ生き残っても精神的、身体的な人間破壊が生涯続く。原爆は絶対悪だ」と核兵器使用を強く批判。「廃絶するとの明確な約束を守り、行動に移すべきだ」と訴え、壇上の被爆者らと「ノーモア・ヒロシマ」「ノーモア・ヒバクシャ」と声を張り上げると、詰めかけた四万人(主催者発表)の参加者から大きな拍手がわき起こった。

 隣接するニュージャージー州から集会に参加した六十歳代のマリアン・ウィラミーさんは「原爆がひどい被害をもたらし、その使用を正当化することはできないとあらためて思った」と感想を話していた。

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反核パレード出発を前に、国連本部前に集まった左から佐々木さん、花房さんと第六陣メンバー(撮影・松元潮)

 平和ミッションの若手メンバー合流

 【ニューヨーク1日岡田浩一】広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)への参加をステップにそれぞれ平和活動に取り組む若手メンバー三人が核拡散防止条約(NPT)再検討会議開催地のニューヨークに結集し一日、市中心部であった核兵器廃絶と反戦を求めるパレードや集会に加わった。

 南アフリカ共和国とイランを訪問した第一陣の津田塾大大学院生荊尾(かたらお)遙さん(22)=広島市安佐北区出身▽フランスなど欧州三カ国を訪ねた第三陣の筑波大二年花房加奈さん(19)=同市中区出身▽インド、パキスタンを巡った第五陣の広島修道大大学院生佐々木崇介さん(22)=同市安佐南区。

 この日朝、花房さんと佐々木さんはパレードの出発地点となった国連本部前で米国各地を行脚してきた第六陣メンバーと合流。佐々木さんは「印パの人々の多くが核大国主導のNPT体制に反発していた。会議での核大国の発言に注目したい」。花房さんは「第三陣で交流した欧州の平和活動家との再会も楽しみ」と笑顔で話した。

 パレードの途中で出会った荊尾さんは「若手メンバーが平和ミッションで得た体験を次の行動につなげているのを知ってうれしい。再検討会議参加の政府代表らへのロビー活動などに協力して取り組みたい」と意欲を見せていた。

(2005.5.3)