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被団協主催の原爆展始まる
国連本部

 【ニューヨーク2日宮崎智三】NPT再検討会議の開幕に合わせ、日本被団協主催の原爆展が二日、ニューヨークの国連本部で始まった。観光客や会議関係者らが訪れ、一発で都市を破壊した原爆の威力だけでなく、六十年後の今も被爆者の心や体をむしばむ放射線の恐怖に衝撃を受けていた。涙ぐむ女性の姿もあった。

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原爆の威力や放射線による障害を説明するパネルを熱心に見る観光客や米国の市民たち

 原爆展は国連本部内の二カ所に分けて開催。うち、市民に開放された総会議場ビル一階ロビーには、広島、長崎の被爆直後のパノラマ写真や、白血病のため十二歳で亡くなった佐々木禎子さんの物語などパネル八枚と、禎子さんが折った鶴や焼け焦げた学生服など被爆関連資料六点を並べた。

 被爆者が交代で、来場者に当時の惨状を説明。二十歳前後のカナダ人女性三人は涙を浮かべて聞き入った。テキサス州から観光で訪れたカーラ・アシュトンさんは「ヒロシマ、ナガサキをほとんど知らなかった。本当に悲しい」と話していた。

 大小の会議場が並ぶ地下一階の通路の一角には、二十一枚のパネルを展示。会議場は今後の再検討会議で使われ、被団協は各国政府代表が見学するよう期待している。

 五年がかりで実現にこぎ着けた田中煕巳事務局長(73)は「被爆六十年の節目に、人類と核兵器は共存できないことをあらためて理解してもらいたい」と話していた。

 原爆展は広島、長崎両市が共催に加わり、日本政府国連代表部が後援。町村信孝外相、大島賢三国連大使もこの日、見学。再検討会議が閉幕する二十七日まで続ける。

(2005.5.4)