核の脅威から解放を
秋葉市長らが演説
【ニューヨーク4日宮崎智三】秋葉忠利広島市長や伊藤一長長崎市長らは四日、米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説し、それぞれ核兵器の非人道性とその廃絶を訴えた。
秋葉市長は、黒くゆがんだ被爆者の手のつめ(レプリカ)を掲げながら、「ほかの誰にも、こんな思いをさせてはいけない」と被爆者の思いを代弁。「人類の圧倒的大多数は、核兵器の脅威からの解放を一層強く求める」とし、核兵器の実戦配備の即時解除や、二〇二〇年までの廃絶に向けた交渉開始を求めた。
伊藤市長も、原爆で黒焦げになった少年の写真を示し、「核兵器は無差別・大量殺りく兵器。その存在を許さない」と断言。前回(二〇〇〇年)の再検討会議が核兵器廃絶への「明確な約束」で合意したことに触れ、「(核保有国が)国際的信義さえ無視する態度は断じて容認できない」と批判した。
長崎で被爆した日本被団協の田中煕巳事務局長は「被爆者を死ぬまで苦しめる核兵器は、悪魔の兵器。人類と共存させてはならない」と訴え、今回の会議で廃絶への具体的道筋を明らかにするよう求めた。
スピーチは、この日午前中の各国演説終了後に総会議場で行われた。約百九十のNPT加盟国のうち耳を傾けたのは三十カ国余りの政府代表団。空席も目立った。
また、広島市など平和市長会議の活動に賛同するという故ジョン・レノンの妻オノ・ヨーコさんも演説し、「イマジン・ピース(平和を想像してみて)」と呼び掛けた。核兵器廃絶署名を集め再検討会議のドゥアルテ議長(ブラジル軍縮・不拡散担当大使)に提出した日本原水協や連合の代表も、核兵器全面禁止条約締結などの取り組みを要望した。
(2005.5.6)