国連の意思示した原爆展
ニューヨークの国連本部での原爆展は、多くの観光客が出入りする一階ロビーで始まった。惨状を伝える写真パネルや被爆資料が、議題すら決まらない異常な状態が続く核拡散防止条約(NPT)再検討会議に、核兵器廃絶を強く訴える。
原爆展実現には、国連側のバックアップがあった。「好位置での開催は多くの人の努力のおかげ。国連の意思を示す展示になった」との声も関係者から聞こえてくる。
アナン事務総長は、広島市などでつくる平和市長会議の活動を「非常に重要」と激励した。阿部信泰事務次長(軍縮担当)も被爆者たちの集会に参加し、「被爆体験を聞くことは核軍縮の出発点」と強調した。
そうした思いが、肝心の核兵器保有国に届くかどうか。五日にあった秋葉忠利広島市長らの演説も、総会議場は空席が目立った。
「世界の人の反核平和への情熱が伝わってきた。同時に、核兵器廃絶の難しさも痛感した」。平和市長会議の集まりで被爆体験を話し、スタンディングオベーションを受けた山下三郎廿日市市長は、そう話して帰国の途に着いた。(宮崎智三)
(2005.5.6)