100人超す感想文 原爆展に手応え
食い入るように説明を読むアジア系の男性、折り鶴に触れてみる金髪の若い女性、米国人のボーイフレンドと立ち寄った日系三世…。
核拡散防止条約(NPT)再検討会議に併せて米ニューヨークの国連本部で開かれている日本被団協主催の原爆展で、じっくり展示を見る外国人の姿が目立つ。
見学者が感想を書くノートも、最初の数ページは日本人の書き込みばかりだったが、英語やイタリア語、フランス語、スペイン語、それにアジア系の言葉が増えてきた。「へいわ! かくのないみらい!」と、たどたどしい平仮名もある。
感想は百人分を超えた。「みんなが持っている最も基本的な義務を思い出させてくれてありがとう」(スイスの男性)などと、核兵器廃絶は人類全体の課題との訴えがじわり浸透している。
肝心の会議自体はまだ展望が見えず、実質討議入りは早くても十日。かつてない厳しい状況だが、原爆展が核のない未来への勇気と使命感を発信する場となっているのは間違いない。
「未来をつくるのは私たち。必ず核も争いもない世界が来ます。そうさせてみせます」。日本人が記した若々しい決意にそんな思いを強くした。(宮崎智三)
(2005.5.10)