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「国際世論を動かす好機」
日本被団協 坪井直氏に手応え聞く

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて訪米し、被爆体験を語るなどして帰国した日本被団協の坪井直代表委員(80)に十日、現地での手応えを聞いた。 (加納亜弥)

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「『明確な約束』が崩れ去ろうとしている」と語る坪井代表委員

 ―今回のNPT再検討会議をどうみますか。

 核兵器廃絶への「明確な約束」で合意した二〇〇〇年の前回に比べ、今回は不安な、そして残念な気持ちで帰ってきた。

 ―なぜですか。

 〇一年の米中枢同時テロ以来、米国は方向転換して核兵器廃絶の約束は崩れ去ろうとし、今回の会議にも日本の原爆被害を「昔のこと」とする空気が流れているように感じた。ヒロシマの思いが届いていない。被爆者として、あらためて約束を果たすよう希望し、そのために、被爆者の健康被害など「原爆は今に続く問題だ」と訴えた。

 ―日本被団協は国連本部内で原爆展を主催しました。

 非常に有意義だった。再検討会議の参加者が、少しでも原爆被害を理解してくれた。国連に集まる世界のメディアを通じて本国に伝われば、国際世論を動かすにももってこいだ。よかった。

 ―約四万人規模のパレードや集会で核兵器廃絶を訴えた際、米国民の反応はどうでしたか。

 歩く姿に拍手をくれたり行進に加わってくれたりした。確かに無関心な人も多いだろう。しかし悲観してはいけない。今後も国連で原爆展を開きたいし、世界中で被爆証言を語り継ぎたい。頑張って地道に続けるしか方法はない。

(2005.5.11)