東アジア非核化探る
NYで研究会 日韓NGOが主催
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日韓の被爆者も参加した東北アジア非核兵器地帯構想のワークショップ
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【ニューヨーク10日宮崎智三】核実験を準備中との疑惑が浮上している北朝鮮を含めた東北アジアを非核地帯にするためのワークショップ(研究集会)が十日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議を開催中のニューヨークの国連本部であった。日本の市民団体ピースデポ(横浜市)と韓国の非政府組織(NGO)が主催し、約三十人が参加した。
ピースデポの梅林宏道代表らが提唱する東北アジア非核兵器地帯構想は、日本と韓国、北朝鮮で核兵器の製造や配備、実験を禁じるとともに、周辺の核保有国である中国、ロシアと米国から核攻撃しないなどの約束を取り付ける内容だ。
ワークショップでは、田中煕巳日本被団協事務局長(73)や郭貴勲韓国原爆被害者協会会長(80)ら日韓の被爆者四人が体験を証言。郭会長は「核兵器で国を守り、民を保護できると考えるのは幻想だ」と訴えた。
非核地帯化を目指すNGOの間では、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議と関係国が一致することから、同協議の議題にすべきだとの意見がある。一方、ワークショップを傍聴した日本政府代表団(外務省)には、核保有を宣言するなど北朝鮮の現状を踏まえ「現実的環境が整っていない」と実現を困難視する見方もある。
NPT脱退を宣言した北朝鮮は今回の再検討会議に姿を見せていない。しかし、梅林代表は「非核地帯化が実現すれば、NPT体制の強化につながり、米国の『核の傘』に依存する被爆国の矛盾も解消できる」と話している。
(2005.5.12)