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「核兵器 人道に反する罪」
日本被団協事務局次長、被爆体験語る

■NGOセッション

 【ニューヨーク11日宮崎智三】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は十一日、公式の非政府組織(NGO)セッションを開いた。「被爆者からのアピール」として、日本被団協の小西悟事務局次長(75)が広島での被爆体験を証言。前回(二〇〇〇年)の再検討会議で合意した核兵器廃絶を実行するよう強く求めた。

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NGOセッションで被爆体験を証言する小西さん

 セッションには約八十カ国の政府代表やNGOメンバーら約三百人が参加。小西さんは原爆被害について「死者だけではなく、かろうじて生き残ったものも同じように人間の尊厳を奪われた」と語り、「非合法で道徳に反する悪魔の道具である核兵器は、持つだけで人道に反する罪だ」と廃絶の必要性を強調した。

 さらに、「もし今、すべての核兵器をなくすことに失敗すれば、子や孫たちに苦痛を運命づけることになってしまう」と警告。広島と長崎の教訓に学び、核兵器禁止条約の締結に向けた交渉をただちに始めるよう各国の政府代表に求めた。最後は「にんげんをかえせ」などと原爆詩人峠三吉の「原爆詩集 序」を朗読して締めくくった。

 感情のこもった英語での証言に、会場から一段と大きな拍手が送られた。ブルガリア政府代表のマリア・パブロバさんは「非常に感動的だった」と話していた。

 セッションではテーマ別に二十近いNGO代表が演説し、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のサンシー・ホールさんは「核兵器廃絶(のゴール)は遠くに見えるかもしれないが、早くスタートすれば早くたどり着ける」と指摘した。

■河井政務官が早期廃絶訴え 政府のレセプション

 【ニューヨーク11日宮崎智三】河井克行外務政務官(衆院比例中国)は十一日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議を開催中のニューヨークの国連本部で、一日も早い核兵器の廃絶を訴えるスピーチをした。

 日本政府主催のレセプションで河井政務官は、再検討会議のドゥアルテ議長をはじめ英国、中国などの政府代表や非政府組織(NGO)メンバーら約二百人を前に、「唯一の被爆国として、広島の悲劇を人類の記憶にとどめることは重要な使命」と述べた。

 広島出身であることにも触れ、「核兵器廃絶を求める広島の声と日本の政策に橋を懸けることが私の役割」と強調した。

(2005.5.13)