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約束した廃絶に米は道筋を示せ

NPTウオッチ

 「ブッシュ大統領も、ライス国務長官も、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に出席する時間を見いだせなかったのは恥ずかしいことだ」

 米ニューヨーク・タイムズ紙が八日付の社説で、NPT再検討会議を取り上げた。会議を軽視しているとして自国政府の対応を批判し、これ以上の核開発国が出ないようリーダーシップ発揮を求める内容だ。

 ここニューヨークでは、北朝鮮やイランの核関連ニュースを目にする機会は多いが、会議自体はほとんど報道されない。社説が市民の関心を呼ぶ契機になると期待したい。

 だが、この社説をめぐる米国の反核団体などの評価は、意外に厳しい。社説には、核兵器を持つ野望が広がらないよう保有国は自らの核兵器を「削減」しなければならない、とのくだりがある。「廃絶」が目標でなければ、核軍縮に消極的なブッシュ政権とスタンスは同じというわけだ。

 この論議は、再検討会議の焦点の一つ、米ロ間の戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)の評価とも関連する。米政府は核軍縮努力と強調する。が、廃絶にはほど遠く、削減した核弾頭を再配備できる抜け道もある。

 米政府が何より恥ずべきなのは、廃絶を約束しながら具体的道筋を示せないことではないか。(宮崎智三)

(2005.5.13)