審議入りめど立たず
小委の設置で対立
【ニューヨーク16日宮崎智三】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は十六日(現地時間)、実質論議の場となる三つの主要委員会への議題の割り振りや、設置する小委員会のテーマや数をめぐり、各国の意見調整が進まなかった。主要委員会が動きだす見通しは立たず、会期ばかりを空費する状態が続いている。
関係者によると、非同盟諸国側が、核兵器保有国が非保有国に対し核兵器の使用や威嚇をしない「消極的安全保障」に関する小委員会の設置を、強く主張。西側諸国には不要との意見が多く、対立している。
ほかに、「中東問題」に関する小委員会設置も調整中という。NPT未加盟で事実上の核兵器保有国であるイスラエルを視野に入れて設置を求めるエジプトと、親イスラエルの米国などとの間で意見が分かれているとみられる。
こうした調整に当たり参加国は、西側、東側、非同盟諸国の三グループに分かれて協議し、意見をまとめてドゥアルテ議長と折衝する手法を取っている。このため各国には全体像が見えにくい。十六日午後の本会議でロシア代表団が「何が起きているのか分からず、議長を手助けすることもできない」と現在の調整方法に疑問を呈するなど、透明性の向上を求める意見も出ている。
事態打開に向け日本政府代表団は十六日、五つの核兵器保有国を除く各グループの代表的な約十カ国を招き、非公式に意見交換した。
十七日は、遅れて会議に到着したイラクが、本会議で一般演説する予定だ。主要委員会が動きださなければ、本会議などで実質的な議論を進める変則的な運営を強いられる可能性も出ている。
(2005.5.18)