核燃再処理にも注目
原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「再処理」問題は、日本ではたいてい、原発に賛成か反対かの文脈で議論される。だが、ここ核拡散防止条約(NPT)再検討会議の場では、拡散防止の点から関心が高まっている。
青森県六ケ所村に建設された再処理工場が動きだせば、年間で核兵器千発分に相当するプルトニウムが分離できる。テロリストに略奪される危険性が増え、世界の安定を脅かす―。
再検討会議に合わせてそんな警告を発したのは、米国の民間団体「憂慮する科学者同盟(UCS)」だ。「核兵器保有を選択しない賢明さを示した日本は、拡散防止でもリーダーシップを」と六ケ所村での計画延期を求めた。
「核の番人」と呼ばれる国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長も、ウラン濃縮・プルトニウム再処理施設建設の「猶予」を提案している。新たな核物質の生産を制限しようとの考えからだ。
再検討会議でも今回、このエルバラダイ提案が争点になる可能性がある。「IAEAのルールを守らない国と同列視されるのはおかしい」。こう反論する日本の行動が、会議参加国から注目されるのは間違いない。(宮崎智三)
(2005.5.19)