米・イランが非難応酬
CTBT 発効望む声相次ぐ
【ニューヨーク19日宮崎智三】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は十九日(現地時間)、三つの主要委員会での実質討議がスタート。核軍縮をテーマとする第一主要委員会では、米国とイランが互いを名指しで批判し、対立の根深さを見せつけた。
|
実質討議を始めたNPT再検討会議の第1主要委員会
|
第一主要委員会は午前と午後の二回開き、合わせて二十カ国以上が意見を述べた。核兵器廃絶への「明確な約束」、包括的核実験禁止条約(CTBT)早期発効など、前回(二〇〇〇年)の再検討会議の最終文書に盛りこまれた核軍縮措置の実現を求める意見が目立った。
米国の批准拒否により発効の見通しが立たないCTBTについて、米国の同盟国である日本やオーストラリアなども含め大半が早期発効を主張。核兵器保有国も、批准済みの英国やフランス、ロシアは早期発効を促し、中国は自らは批准手続き中との弁明も交えながら発効の必要性を訴えた。
米国は、核保有国に核軍縮を義務づけるNPT第六条についての意見表明を二十日に先送りし、非保有国の核兵器開発を禁じた第二条などに絞って持論を展開。特に、核兵器製造を宣言した北朝鮮や、二十年近く秘密裏に核活動を行っていたとしてイランを名指しで批判した。
これに対しイランは、核実験再開までの時間短縮など核軍縮に逆行する米国の動きを指摘。「米国は根拠もなく政治的動機でイランを非難している」などと切り返した。
この日は、拡散防止、原子力の平和利用を協議する第二、第三主要委員会もスタート。それぞれ二十五日までに論議を集約し起草委員会に報告。最終文書案を作る。
(2005.5.21)