主要委論議 集約大詰め
最終週入り 合意形成へ全力
【ニューヨーク23日宮崎智三】国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は二十三日、四週間の会期の最終週に入った。採択できるか危ぶまれている最終文書の作成に向け、三つの主要委員会ごとに論議を集約する作業が大詰めとなる。各委員会の状況を追った。
核軍縮を話し合う第一主要委員会は、米国が批准を拒否している包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効が争点。米国は予想通り反対を表明したが、日本などは「(早期発効推進の)立場の国が多いのが強み。どこかで妥協できる線を探さないといけない」(美根慶樹軍縮大使)と合意を模索する方針だ。
拡散防止を協議する第二主要委員会は、核兵器の製造・保有を宣言した北朝鮮と、核兵器開発疑惑が指摘されるイランの扱いが鍵を握る。北朝鮮に対しては、NPT脱退を非難し、核開発計画の放棄と六カ国協議への復帰を求める国が大半を占める。
しかし、中国だけはニュアンスが違った。平和的な解決の必要性を訴えたうえで、北朝鮮と米国双方に柔軟な対応を求めた。北朝鮮を刺激して六カ国協議再開に水を差すことのないよう、配慮を求めたとみられている。
イラン問題では、非同盟諸国の「沈黙」が際立っている。NPT未加入で事実上の核兵器保有国であるイスラエルを念頭に、「NPTの枠外にいて拡散防止の義務を果たしていない国とのバランスを欠く」などと、間接的にイランを擁護する意見もあり、妥協点は見えてこない。
原子力の平和利用がテーマの第三委員会は、NPTが「奪い得ない」と定めている平和利用の権利と、拡散防止のための義務の順守とのバランスを、どう図るかが課題だ。「義務を果たすことが平和利用の条件」とする西側などの主張に対し、非同盟諸国には「拡散防止の名の下で、平和利用を制限する動き」との警戒感が強い。
脱退への対応でも、制裁的措置を課すなどハードルを高くしようとする西側などと、「条約改正につながり再検討会議の論議にはなじまない」とする非同盟諸国との考えは、かみ合っていない。
事前調整が難航したため、主要委員会での実質討議は予定より二週間遅れ、十九日に始まったばかり。しかしドゥアルテ議長は先週末、各委員会に「簡潔、包括的でバランスのとれた」報告を出すよう指示し、最終文書取りまとめに努力する意向を示した。日本も美根軍縮大使が「あと一週間、やるべきことは多い」と述べるなど、二十七日の会期末に向け最終合意形成に力を尽くす構えだ。
(2005.5.24)