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核不拡散委が決裂
包括文書は困難に

 【ニューヨーク24日宮崎智三】国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は二十四日(現地時間)、拡散防止を扱う第二主要委員会の最終会合で委員会報告をめぐる意見対立が埋まらず、決裂した。報告は会議の最終文書の土台となる。これにより、包括的な最終文書の採択は極めて困難になった。

 モルナー委員長(ハンガリー)が、イランの核開発疑惑や北朝鮮の核兵器保有宣言、中東の非核化をめぐる計六回の論議のまとめ案を示したが、非同盟諸国などが「論議や調整が不十分」として起草委員会への報告に反対し、合意できなかった。この結果、委員会報告は論議の中身に触れず形式的な内容となる。

 残る第一(核軍縮)と第三(原子力の平和利用)の主要委員会はそれぞれ、二十五日の最終会合で報告案決定を目指す。しかし、第二主要委員会の決裂により、最終文書の採択は「ほぼ不可能」との見方が強まりそうだ。ただ、全会一致に縛られない議長声明の形式にしたり、さらに調整を経て本会議で決着を図ったりする可能性もあり、ドゥアルテ議長の手腕が事態打開の鍵を握る。

 第二主要委員会では、イランが自国の核問題についての言及に激しく抵抗。事実上の核兵器保有国でありながらNPT未加入のイスラエルをめぐり、エジプトをはじめアラブ諸国が「中東の非核化が進展していない」との不満をあらわにしてきた。これらが、論議の取りまとめに失敗した背景にある。

 日本政府代表団は、北朝鮮の核問題への懸念や六カ国協議の早期再開を会議の合意事項に盛り込みたい考え。関係国との非公式協議などを通じて引き続き合意形成に努めるとしている。

(2005.5.26)