中国新聞

モニュメントのつぶやき
新天地地蔵尊
繁華街の人の往来を静かに見つめ続ける新天地地蔵尊

新天地地蔵尊

 おいでお水だよ

 広島市の中心部の繁華街にある新天地プラザビル。名所「お好み村」が入居し、県外からの観光客が目立つこのビルの入り口に「新天地地蔵尊」がある。
 平成4年1月、ビルの持ち主だった故住田一也さんが、被爆死した自分の弟妹や、多くの子供たちの供養のために建立した。あの日、おびただしい人が水を求めて亡くなった。その惨状を踏まえて地蔵尊の周りを小さな池にした。念願を果たして九カ月、住田さんは71歳でこの世を去った。
 ビル内でお好み焼き店を経営する尾上文枝さん(70)は朝と夜、地蔵に手を合わせる。「池の縁に平気で腰掛ける若い人もいますが…」。さい銭が盗まれることは珍しくない。地蔵が手にしていたつえは、これまでに2回も持ち去られた。
 「繁華街の真ん中なので仕方ない面もある。ただ、先代の願いは私たちが受け継がなければ」。ビルを所有する会社の社長小西光信さん(56)は、今年も心尽くしの花を手向けて、8月6日を迎えるつもりでいる。
 
広島市中区新天地 [高さ1.7メートル(台座部分含む)]

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