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熱烈ファン2万6083人 記憶に刻む

2009.3.23

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市民球場での最後のオープン戦の終了後、右翼席では「ありがとう」の声がこだました(撮影・浜岡学)

 ありがとう、市民球場―。52年の歴史に幕を下ろす広島市民球場(中区)で、22日あったプロ野球最後の試合。オープン戦としては過去2番目に多い二万六千八十三人が詰めかけ、広島東洋カープとともに歩んだ市民球場の「晴れ姿」を見届けた。

 開門の午前11時15分。春雨で煙る中、待ちかねた観客が次々と球場に吸い込まれていった。「心残りがない応援を」。右翼側外野席で私設応援団の藤井淳文さん(23)が雰囲気を盛り上げた。左翼席にも、球場との別れを惜しむ阪神ファンの姿があった。山口市の会社員平尾裕美子さん(32)は「ありがとう市民球場」と書いた紙を掲げ、「この一体感が好きだった」。

 応援団のトランペットが球場に響き、名物「カープうどん」の売店前には長い行列ができた。「この景色を目に焼きつけたい」と私設応援団、広島緋鯉(ひごい)会の大畑敦会長(23)。

 観客の肩が触れ合う球場の距離感は交流の輪も広げた。「隣り合ったら意気投合。仲間が次々増えたんよ」と中区の主婦仲本和子さん(55)。一塁側内野席の通路番号20を刻む柱の辺りは、30人前後の顔なじみが自然に集うスポットだった。

 ファン熱が高じ、古里の大分県を離れ広島市で就職した吉村洋子さん(46)=東区=もその一人。「新球場でもみんなの『特等席』をつくりたい」と笑顔を浮かべた。

 試合後も名残を惜しんでたたずむ観客たち。「広島市民球場ありがとうございました」。応援団の合図で連呼が始まった。妻と訪れた南区の小島守さん(84)は「初優勝の感動が忘れられん。新球場で、また二人でカープの優勝を見たいね」と夢を託していた。(山本洋子)


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